第10章 白紙
あの後、看護師さんに止血をしてもらい、
翔が…眠る病室を教えてもらった
「大丈夫か」
『……うん…』
覚束ない足取りで翔の病室へ向かう
爆豪さんが私の肩を支えてくれている
冷たい私の身体と違って
彼の身体はとても暖かかった
「…着いたぞ」
『………』
目線が下に落ちたまま上がらない
『…あ、りがとう』
声が 震えている 気がする
ドアノブに手を伸ばす
重い、重い扉を開けて
中を覗く
カーテン越しに、横たわるシルエットが目に入る
肩を支える大きな手に、力がこもる
まるで、「俺がいる」と励ましてくれているように
震える手で邪魔な布を退け、直接彼を目に映す
『――ッ』
穏やかな寝息を立てて眠る彼がいた
体中の細かい傷は綺麗になっていた
片脚は……無くしたままだった――…