第9章 再会
空へ伸ばした死柄木の手が止まった
「死柄木…!?」
仲間がその姿に戸惑う
「イヤです神奈ちゃん、一緒に行きましょう!」
別れの言葉を吐く神奈にトガも拒絶する
死柄木の動きが止まった事で一人分敵戦力が減り、爆豪と神奈は先程までより攻撃の対応に追われなくなった
それを遠目に眺めていたオール・フォー・ワンは
戦況を一変する一手を打つことにする
「ああ、そうだ。失念していたよ」
オールフォーワンが不敵に嗤い
黒いどぶが、また湧き出す
「もう一人居たんだった…仲間が」
ゴポゴポと鳴る黒から現れたのは
「ああ、いや、仲間”だった”かな」
片脚を失った
翔の姿だった――…
「『!!??』」
状況が飲み込めず、呼吸が疎かになる
浅くなっていく息の合間に、翔の姿を凝視する
脚だけじゃない、体中傷だらけだ
だけど血は流れていない
それは、幸か不幸か――…
「もう要らなくなったんだ、このコマは。だから返すよ」
「なにを――…!」
「最初から分かっていたよ。彼が警察の犬だって」
バーのアジトを、この倉庫の場所を
リークしたのはそこで倒れている翔、その青年の仕業だ