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【ヒロアカ】世も縋ら

第9章 再会




延ばされたヒビだらけの手を振り払った


何度も延ばされて来たその冷たい手を


傷つけまいとする優しい手を………


「っ神奈……」


そんな顔をしないでよ
あんたは敵なんだから
ちゃんと、敵らしく、最低でいてよ

じゃないと私…区別がつかなくなってしまう


貴方まで、助けたくなってしまう



『ねえ、死柄木……私――…』



常に腹の探り合いだった


本音なんてものはどこにあったのか分からないくらい嘘ばかりだった


どうしたら平和に敵連合を出し抜けるのかだけを考えていた


貴方は私に酷い仕打ちをする

私が泣くのを嬉しそうに眺める

だけど貴方は、私の涙を拭うの

四指で壊れ物を扱うように抱き締める

心配そうに声を掛ける



ねえ、どれが貴方の本心だったの…?


バーでする本や映画の雑談も
平行線の腹の探り合いも
クッションで過ごす昼寝の時間も

全部、敵だと忘れて過ごした時間
隠した心の奥底で、楽しんでいる自分がいた




ねえ、死柄木


もしも貴方が敵じゃなかったら――
日常の一場面で出会っていた普通の青年だったなら――


私達きっと、素敵な”友達”になっていた






『私――…あんたの事、嫌いじゃなかったよ』



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