第9章 再会
「行くわきゃねえだろバカかてめえは!!」
極悪面で吠える爆豪は、珍しく冷や汗を流し
この場をどう立ち回るべきか考える
一時を争うこの場面、敵連合は二人のコマを強制的に連れていこうと襲い来る
「抵抗すんな、頼む」
『……っ死柄木…ごめーー…』
指の間から覗いた瞳は、ただ切望を描いていた
神奈にはどうしても、死柄木を全力で拒絶する事が出来なかった
彼と過ごした短い時間が…神奈の足を止めてしまった
「迷うな!!!」
『!!』
「迷ってんじゃねえ!!アイツは敵だ!!!!」
神奈を庇いながら戦う爆豪が
戸惑う神奈の頭に現実を突きつける
『分かっ…てる……っ』
そうだ、分かっているんだそんな事は
最初から、最初から――…
何度だって見たんだ
死柄木が笑いながら人を傷つける姿を
何度も、何度も、見てきたこと……
でも
だけど
『ッごめんね、死柄木――…!』
優しい“人”の死柄木の姿も、それ以上に何度も見てしまったんだ