第9章 再会
時は遡りーー…
敵連合の急襲直後の雄英合宿場では
先程まで燃え盛っていた木々が
気付けば鎮火されていた
生徒の身を案じ、飛び出した相澤は
地面に横たわる緑谷ら生徒の姿を発見する
その中に一人
険しい顔をして座っている者が
「…何があった、轟」
水溜りの中央に胡坐をかいているのは、轟焦凍
轟は相澤の声にハッとし
「相澤先生」
「…お前が鎮火したのか?」
彼の個性故にそう問うた
「…いや、俺じゃないです」
説明を求めるよう見つめる
賢明な彼は続きを紡ぐ
「翔…神奈の幼馴染が、やりました」
相澤はその言葉を反芻する
どういう事だ?翔と呼ばれる男は
凪山への復讐心から敵になったと聞いている
しかしそいつが、この山火事を鎮めたと?
「緑谷達はどうした
なぜ伸びてんだ」
「それも同じで」
「益々訳が分からん」
横たわる生徒らは、緑谷以外は大きな外傷もなさそうで
ここだけ豪雨が降ったような
大きな水溜りだけが残っていた
「…轟、そいつはどこ行った」
「火事が酷かった方に」
そう言い森の奥を指差す
相澤は「そうか」とだけ零し
指された方へ足を向ける
「こいつらを頼む」
それだけ残して消えて行く
〝…ーー敵連合が一枚岩ではない〝
相澤の脳をかすめたのは
そんな仮説だった