• テキストサイズ

【ヒロアカ】世も縋ら

第8章 開闢行動隊




先に折れたのは死柄木だった

「はあーー……」


大きな溜息のあと
不貞腐れた様に
「好きにしろ
黒霧、こいつも連れて行け」と面倒臭そうに吐き捨てた

黒霧は得心のいかぬ様子で零す
「…はい」

唯一納得していないのは神奈だけだった

『え、ちょっと待って、攫う…?
何企んでんのあんたらは』

「うるさいな、部外者は黙ってろ」

『ッ翔あんた、頭まで悪くなったの?
私を恨んでるのは分かってる。出来る限りの償いもする。
だけどね、無関係な人を攫って私が傷付くとでも思ってるの?それともまさか……』

言いかけて一つの可能性を見出す

「…可哀想な奴だな
死柄木の人形に改造されて」

『ッ…!』

ということは
今から連れ去られる人はーー…

「殺すぞ」

『ッ!!!』


思考を遮るように
死柄木の殺意が蔓延した

「……」

皮膚がビリリと騒めいて
額に汗が滲み出た


「いい加減にしろ翔
余計な情報をこいつにくれてやるな
それとも何か?お前は俺の計画を潰したいのか?」

「どうでも。俺はこいつに復讐出来ればなんだって良いさ」


死柄木の鋭い眼光をひらりとかわし
黒霧の元へと歩み寄る


『…翔』


大切な幼馴染が、犯罪に加担しに行ってしまう
それも

私が、原因で……



これほど虚しいことはない


「黒霧、俺を先に移動させろ」

「…ええ、まあ。ですが無駄足かも知れませんよ…?作戦は既に、決している手筈です」

「それならそうと、テキトーに周りの生徒でも殺して去ってやるさ」

「…翔」


身体を半分、霧に納めたところで死柄木が低い声で呼び止める


「…必ず、一人殺してこい。
誰でもいい。生徒でも、教師でも、ヒーローでも。
それがお前を参加させる条件だ」


『ッーー…』

「……簡単。」

そう零して、翔は黒い霧の中へと姿を消した

/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp