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【ヒロアカ】世も縋ら

第8章 開闢行動隊




一瞬目を離した隙に
爆豪が姿を消した…

既に術中だってのに気を抜いた


どうすべきだ?
俺は、今、何をするのが正しい選択だ?

仲間が消えた
敵に囲まれ
未だ術中

どうやって爆豪を消したのすら
その原理も分からない

拠点からも、肝試しのスタート地点からも距離のあるこの場所で
援護を待つのは愚の骨頂

しかし二対一で、しかも相手は俺の個性を把握していて、俺はその真逆である

”不利”

その一言に尽きる



ジリ…

尻込みし半歩後退してしまう


どうするのが正しい…?
どうすれば俺は………



ふと、体育祭で神奈に言われた言葉を思い出した

〈もうあんな怪我、しないでね…〉

自分の事の様に
悲しげに呟かれた言葉

〈少なくとも私は…
友達があんな怪我してたら
悲しくなるよ…〉

優しい、優しい神奈らしい台詞だと
そう思った


言葉を交わした機会は数回

俺は、神奈がA組で爆豪とお弁当を広げている姿を
いつも遠目で眺めているだけ

何度もクラスを訪れる内に
どんどんとA組の奴らに受容されていく神奈を、
どんどんと爆豪と仲を深める神奈を
ただ遠くの席から眺めているだけだった…

きっとさ
遠くから見ていたから
分かったんだろうな

クラスの奴らが
爆豪が
他の奴らが

神奈の前だと、普段とは違う表情をしている事に

男も女も関係なく
生徒も教師も関係なく

神奈の前では皆、一様に
優しい表情をしてしまう


神奈の纏う空気か
その声か
その笑った顔か
それともそれら全てか…

兎に角神奈の周りは
日向みたいに暖かいんだ

周囲の奴らはいつもそこに行きたくて
独占している爆豪が羨ましくて
横取り
したくて――…




俺がすべきこと


俺が、したいこと、してやりたいこと

太陽みたいなあいつに
前見たく暖かく笑いかけて貰いたい

あいつの笑顔を
守ってやりたい


…あぁ、これじゃあどっちも
結局は俺の我儘じゃねえか

だが分かった

今やるべきことが



あいつが太陽みたいに笑うには

爆豪


悔しいがお前が
隣にいないといけないんだ――…

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