第8章 開闢行動隊
目の前で抱き合う光景に
轟は何も
口出しできないで
ただ呆然と立ち尽くしていた
すると突然
茂みの奥から今度は人ではなく
煙が漂ってきた
「!?おい爆豪!」
早急に意識をこちらに向けてもらい
緊急事態を知らせる
「あ!?んだその煙は!」
咄嗟に目の前の神奈の口を
自身の汗ばんだ手で塞ぐ
すると『んむんんぐ!』と何かを必死に訴えてくるので
姿勢を低くし手を離す
『ぷはっ先に言うべきだった…!
私、逃げてきたの!』
「いや、それは分かってる」
『んんーっ!ごもっとも!
じゃなくて、今、ここに敵連合が来てて!
隙を見てそれを知らせようと思って…!』
その言葉で最も不可解だった点が解決した
「なんで、敵連合が……」
轟が驚くのも無理はない
なぜならこの林間合宿の開催地は
生徒ですらその場所を知らされずに来ているのだから
知るものは限られた
教師陣数名含むワイルドワイルドプッシーキャッツの面々のみだ
にもかかわらず
この場に敵連合がいるとすれば
それは……
あまり考えたくはない事態である