第8章 開闢行動隊
『え、何?…誰?』
「…可哀想にな」
死柄木は理解できないことばかりを言う
『…どういう意味よ』
キッと睨むが男はまた
ほくそ笑むだけだった
「…お前は知らなくて良いことだよ」
『そう言われると余計に気になるものなのよ?』
そうやけになる姿に死柄木は苛立ちを覚え
少女の腕を掴み引く
『ちょっ!』短く発された言葉を無視し
少女の華奢な身体をその腕に閉じ込める
『…っ…放して』
抱き留められていることに頬を赤く染めながら
強気の姿勢は崩さない
これだけ長い時間
軟禁状態でほとんど側から離さなかったのに
未だに態度は変わらない
脅しても
触れても
変わることはなかった
知らなくていいんだ
今のままで
それでも良いんだよ
お前が〈爆豪勝己〉という存在を
思い出すより遥かに