第7章 敵連合
「おっと…」
咄嗟に死柄木の細い腕が腰を掴み
落ちぬよう地面の上へと持ち上げる
ビルの上の貯水槽
そこに立っていたことに今更気付く
「お前は今、こっち側の人間だ
大人しくここで静観しような」
『っ…そんなの…』
出来る訳がない
目の前で今も尚
人が倒れていっているのに
翔の手前、敵になっても構わないと言ったが
現実を突きつけられて初めて
自身の発言が如何に軽薄で愚かしい事だったかを思い知る
居ても立ってもいられなく
再度、空中に向かって足を突き出す
バッと跳んだ下は遥か高く
重力に従い落ちていく
着地した瞬間に
自身を舐めれば
死に間に合うかも知れない
そんな博打だが
臆せず地面の衝撃に準備する
早く
早く助けに行かないと……っ
はやる気持ちを抑え込み
あと数メートルの地面を見据える
『っ!』
突然、地面には黒いもやが現る
咄嗟に近くの壁を蹴り、落下地点をずらすが
靄はそれを追うように追随する
そして
落下の衝撃が身体に響くことはなく
代わりに少し硬い
骨ばった胸骨が
私を出迎える
私はまた
ビルの上へと戻された
取り押さえるように腕を回され
子どもをあやすように頭を撫でられる
『…やめて死柄木……
お願いだから、やめさせて……っ』
涙ながらに懇願しても
目の前の男はただ…
ただほくそ笑むだけだった