第7章 敵連合
「黒霧もういい
バレちまったよ」
投げやりに放たれる言葉に
黒霧は一度こちらを見向き
そうですか、とだけ返答する
「神奈、よォく見とけ」
その言葉をきりに
黒霧は靄を出す
その中に身を投じるヒーロー殺しは
どこへやらと消え失せた
「お前は絶対…
俺から逃げられないんだと」
ああ…
ほんと
厄介この上ない
その後
死柄木は
よく見えない
モニターの奥に話しかけ
気味の悪い”能無”と呼ばれるモンスターを三体受け取り
ヒーロー殺しを追って
靄の中へと入って行く
「神奈、お前もついて来い
いいもん見せてやるよ」
全く乗り気にならない誘いだが
見えない足枷を引かれる様に
重たい足は、靄へと引き摺られる
靄を抜けた先
そこには目を瞑りたくなるような光景が
非情に広がっていた
『ッ!!』
保須市は能無による被害で燃え広がり
割れたコンクリにはヒーロー達が
うずくまる様に倒れている
助けないと…
足が自然と前へと出るが
そこには地面が存在せず
空ぶる様に視界が歪む