第7章 敵連合
「…それがおまえか……」
「は?」
「おまえと俺の目的は
対極にあるようだ…
だが
”現在を壊す”
この一点に於いて
俺達は共通してる…」
「ざけんな帰れ死ね
”最も嫌悪する人種”なんだろ」
我儘を言うように言い放つ死柄木に対し
ヒーロー殺し、ステインはつらつらと何事もなかったかのように語る
「真意を試した
死線を前にして人は本質を表す
異質だが…”想い”…
歪な信念の芽がお前らには宿っている」
黒霧をチラリと見遣り
また続きを語る
「おまえがどう芽吹いていくのか…
始末するのはそれを見届けてからでも
遅くはないかもな…
それに…」
それまでのピリピリとした緊張感は少し薄れ
今度は 神奈に目を遣る
「引き換えにこいつの個性を
使わせて貰う」
まるで物みたいに扱われている事に腹が立ち
眉間に皺が自ずと寄る
「嫌だね
さっさと帰れ死ね」
呆れる様な駄々を捏ねる彼を
やっと動けるようになった黒霧がいさなめる
「死柄木弔…
彼が加われば大きな戦力になる
交渉は成立した!」
「用件は済んだ!
さァ”保須”へ戻せ
あそこにはまだ
成すべき事が残っている」
『…?』
”戻せ”って何だ…?
扉はすぐそこにあるじゃないか
動けるようになった身体を起こし
ヒーロー殺しを見上げると
彼の視線は黒霧に
「あーあ…」
横から残念そうな声が聞こえた
私はやっと
黒霧の”個性”を知った