第7章 敵連合
「…良い」
仰々しい口からは想像もつかない程
ぼそりと零されたその言葉は
誰の耳にも届くことはなかった
「おいおいおいおい
さっきから聞いてりゃ人の上でご大層に弁舌しやがって」
神奈をやるわけねえだろ
ざけんな
どんだけ苦労して手に入れた玩具か分かってんのか?
「口数が多いなァ…
信念?
んな仰々しいもんねいね…
強いて言えばそう…
オールマイトだな…」
首につきつけられた刃を
流血しながら鷲掴む
「あんなゴミが
祀り上げられてるこの社会を
目茶苦茶にブッ潰したいなァとは
思ってるよ」
神奈は初めて
死柄木という男の
本音を聞いた気がした
彼の個性でボロボロと崩れる刃の塵が
床へと落ちるより早く
第二の攻撃を避け、死柄木の上から退くヒーロー殺し
「斬りつけられんのは一向に構わないんだけどさァ
神奈を連れてく…?
それだけはいただけないね」
「…」
「こいつは俺のだ
誰にももうくれてやる気はねえよ」
距離を取り立つヒーロー殺しは
再度、死柄木を吟味する