第7章 敵連合
「翔は敵
俺の仲間だ」
『……え』
勘付いてたくせに
演技ったらしくショック受けてんじゃねえよ
敵がそんなに悪いもんか?
時代によって変わるような
社会が決めたモラルと法が
俺たちを形作ってるだけだぜ?
そんな脆いもんに善し悪し委ねてる様な馬鹿の生き方
お前はしてくれるなよ?
「…」
相変わらず黙りを決め込む翔に少し苛立ちを覚え
どうするのが最善か悩む神奈に
また苛立ちを覚える
悩む
って事はさ
神奈はまだ
翔を信用してる証拠だろ?
そういうの
無性にイライラする
まるで自分の飼い犬が
余所のやつに尻尾振ってるみたいでさ
お前は今から
俺のものになるんだから
「翔が敵になったのが、そんなに嫌か?
こいつが人を殺すのが
そんなに嫌か?」
『ッ嫌に決まってるじゃない…!』
ああ…そういう妥当な答えは
期待してねえんだよ
「じゃあお前が
代わりに人を殺せるか?」
『ッ……それは………』
また悩んで
お前にそんな事させるつもりは無いけどさ
悩まれたらムカつくんだけどな
「ああもう分かったよ
遠回しは辞めだ、直球で言う」
『ッ…』
ギュッと口を紡ぎ、身構える
「俺はあんたが欲しかった
翔は、その架け橋にする為に引き入れた
これは俺が言ったことじゃないが
あんたが居るべき場所はそっちじゃない
こっちだ」
そう両手を広げ
彼女を待つが、こんな言葉じゃ揺るがない