第7章 敵連合
「おい」
死柄木が手を好き勝手動かしていた時
突如、穴の奥
元々神奈が寝ていた部屋からきつく声が掛けられた
「…」
興醒めだと言わんばかりの無言の態度にも
その声の主は臆する事なく主張する
「何やってんだよ変態」
声の主
そいつは少し前に敵連合に引き入れた新入り
翔
「…お前さ……空気読めよ」
そう言い翔をギロリと睨むが
このクソ生意気なガキは遠慮なくツカツカと歩み寄る
しかもその一瞬隙を見せたせいで
神奈は俺の腹を肘で殴り翔の方へ距離を取る
『え、翔何で…?』
状況を把握出来てないようで
俺を警戒しながらも翔をチラチラと答えを求めるように見遣る
「……」
が、相手はその答えはおろか
何も返してはやらなかった
可哀想に
臆したのかよ?
今更幼馴染に嫌われるなんて
不安がってんじゃねえよ
お前が出来ないなら
俺が言ってやるさ
「あれ?もしかして知らなかったのか
神奈ちゃん」
我ながらわざとらしい言い方
『…な、何が…』
「翔だよ」
『…は?』
どうして名前を知ってるのかって顔してるな
ほんと分かり易い
「わかんないかな
ここまで親し気に話してて」
『……』
ああ
本当は勘付いてんだろ?
君は本当に賢い子だから
可哀想に
君はその賢さ故に
利用される
必要とされる