第7章 敵連合
「気付いたら好きになってた
悪いな。お前らまだ付き合ってねえのは知ってるから、謝るのもおかしな話だがな」
「いやいやいやいや
違えだろ?謝って済む話じゃねえんだよ」
「そうなのか?」
「そうだろ!!
あいつは!俺のだ!!」
その乱暴な言葉に
轟は怪訝な顔を浮かべる
「……付き合ってねえのにそうやって束縛してやるのは
神奈が可哀想だろ」
おいおいおいおい
「さっきからちょいちょい気になってたんだがよお…
何さり気に名前で呼んでんだよ?あ?誰の許可得てんな呼び方してんだああ??」
「…俺らはお互い、名前で呼び合ってる
それは互いで決めた事だ」
「はああああ!?」
んな訳ねえだろ!!俺だってまだ一度しか名前で呼ばれた事ねえのに!!!しかも蔑称だ!!!
「嘘言ってんじゃねえよ!!!」
「そう言えばお前は、爆豪って呼ばれてたな
残念だな」
「残念っつうなや!!何上から見てんだよ!!!」
勢いに任せ轟の胸倉を掴み
睨みを効かせるが、一瞬も怯まず
「…とにかく、お前があいつを独占できんのもこれで終いだ
神奈取り戻したら、俺もあいつを独占してえ」
「なに生意気言ってんだよ
遅えよ舐めプ野郎!
あいつの事よく知らねえくせに吐かしてんじゃねえ!!」
あいつの過去も、今も、未来も
全部俺だけのもんなんだよ
ポッと出に横取りされて良いもんじゃねえ
「確かに俺は、まだあいつの事を理解し切れてねえ
けど、そんな事は後から幾らでも埋められる」
「んだと…ッ」
「今は、もっと多くの時間をあいつと過ごして
こんな事にならないよう、俺がずっと守ってやりてえ」
それでもっと
あいつの事を好きになりたい
あいつの周りの心地よさを
独占したい…
「ッふざけたこと言ってんじゃねえよ!
誰にもやらねえ…
てめえにも、真似野郎も隈野郎にも!!
今度こそ返事貰って神奈を縛る
どこにも、誰にもやりゃしねえ…ッ」
ああクソッ
こいつにんな事言うつもりなんざ無かったのに
つうか誰にも!神奈にも!!
そうしてヤケになって出した言葉は
轟の闘争心を煽るのには十分だった