第7章 敵連合
「どうして不利となる個性の話をしたか、分かってないようだね」
それは、つまり
「君の余計な記憶を消すからさ」
『っ!!』
咄嗟に舌を出し距離を取ろうとすれば
包むその力は強くなり
顔を動かすことすら出来なくなった
「中学時代、君は翔君の身体を治す為に雄英を目指していた
なら、その目的が無くなれば?君はヒーローを志すだろうか?
答えは否だ
君は中学生の頃
ただ翔君のことだけを原動力にしていた
ヒーローどうこうは二の次さ
けれど高校生になってからは、周囲に感化されたのかな?
自分はヒーローになる為に雄英に入ったと目的を置換した
そんな記憶は君には必要ない
君はただ
ヴィランとなった翔君の為に
ヴィランとなればいい」
『…そんな』
そんなの…
嫌だ
やめてお願い
大切な記憶なの
人生で一番
大切な時間を過ごしたの
喉の奥が焼ける様に熱くなる
『…ばく……ご……』
絞り出す様に出た声が
自身の心を掻き乱す
まだ伝えてないの
今日と約束したのに
それなのに
この気持ちも消されてしまうなんて
そんなの…
『やめ…て
お願い…それだけは……っ』
切望しても
もう遅い
ゆっくりと顔が近づいて
堅い皮膚が、額に当たる
「それが君の、罪滅ぼしだ」
最後に脳裏を過ぎったのは
爆豪…
あなたの笑った顔だった