第7章 敵連合
「偶々見つけた素晴らしい個性、知れば知るほど
その価値は高まった」
『っぁ…!』
嘘でしょ…?
今の口振りでは
私の「禁忌」まで調べられている…?
「私も丁度、そういう個性が欲しかったんだがね
君の個性は、使いこなすには相応の訓練が要求される
だから
君を、君のままで飼おうと思ったんだ」
……飼う…?
意味の分からないフレーズに
とっくに超えていたキャパシティーが
涙になって溢れだす
『っ…ど……どういうっ…意味よ』
涙を流したおかげか小さいが声が出るようになった
「……へぇ…」
オールフォーワン、そう呼ばれる男は
少女がまだ強い意志を持ち、巨悪に屈せず抗おうとする姿に関心を抱く
「何を質問することがある?そのままの意味さ
私の個性で君の扱い辛い個性を奪わずに
君を従順な駒として、私達で飼おうという話さ」
個性を奪う個性…?
そんなの聞いたことがなかった
『従順な駒…?なれと言われてなるような奴は、雄英には居ないわ
少なくとも私は、敵になんて
拷問されても一切助力するつもり無いから』
「…そうみたいだね」
彼女は過去にそういう経験があったようだが
それでも、敵の手助けが行われた形跡は一切存在しなかった
そう
彼女がそういう人間だということは既知のこと
だからこそ
「その為に、翔を引き入れたんだ」
『…え』
すうっと伸びてきたその両手に頬を包まれて
不気味な顔が、間近に迫る