第7章 敵連合
ひたりと
冷たい床の感触がして
ゆっくり
瞼を持ち上げる
『………え』
そこに居たのは
誰とも知らない
顔の潰れた
男だった
『っぅ…!』
知らない
そう認識した途端
言いようもない恐怖に包まれる
翔はいない
一緒に飛ばされた訳じゃない
居たところでどうなんだって話だが
それでも
何かに縋りつかなければ
まともに立っていられなかった
「…やぁ、待っていたよ」
『っ!!』
不気味に口から音を出す
震える身体に手を添えて
腰が抜けぬ様力を入れる
怖い
怖くてたまらない
死柄木と初めて会ったあの時なんて
比べ物にならない程
声すら
まともに出なくなった
喉の奥まで震えているのに
そこから音は形作られない
「弔がね…君のことを気に入っていたよ」
『!?』
弔……確か死柄木の下の名前
つまりこいつは
敵連合の一人だということだ
いや、それだけじゃない
敵連合は死柄木が表だって率いていたが
真に手綱を握っている者が、他に居るのではないかと囁かれていた
こいつだ
全身がそう告げている