第7章 敵連合
「いや、大したことじゃないんだけどね!
良い個性持ってる子には、片っ端から声かけてるんだ!」
『はあ…?』
なんのために?
「いや、君みたいな個性の人は取り合いになるからね!今の内にツバつけとこうと思って!」
ペペッと本当に唾を飛ばして来たが
依然悪気は無さそうだ
「…」
取り合い…確かにそうだ
神奈 をサイドキックに欲しがる奴はごまんと居る
それに
この体育祭で
彼女は一躍人気者になるだろう
それは
先程の仮テントでの様子を見れば一目瞭然
神奈自身は気付いていなかったが
あの治療している様子は
テレビで生中継されていたのだ
おい爆豪
お前も浮かれていられねえぞ
『取り合いなんて大げさですよ、そもそも私、普通科ですし』
「えっ!そうなの!?もったいない!」
「経営とかサポート科じゃねえのか、知らなかった」
『焦凍くんまで!言ってなかったか!』
「凪山さんならヒーロー科転学も可能じゃないかな!」
『通形先輩は買被り過ぎですよ…
予選35位通過ですよ?やっぱりヒーロー科の人達のようには行きませんでしたよ…』
自分の個性に自信があった分
神奈は予選の順位を意外にも気にしていた
「そうなんだ!けど適材適所!
君は君にしかなれないヒーローになれると
俺は確信してるよ!」
『!』
なんなんだろう
この人の根拠のない自信は…
「ミリオはいつも…こんな感じだから……」
全然口を開かなかった天喰先輩が
突如口をはさむ
『……』
初めて会ったのに
なんだか凄く
人間的魅力を持っているのが分かる
数言話しただけなのに
何かがこの人に惹きつけられる
こんな人
はじめてだ…