第2章 興味
「心操人使です。名部中学出身。好きなもんはサイクリングとかで、個性は…洗脳です」
その言葉に教室はざわついたが
彼は予想していたといった様子で
気にすることなく「よろしくお願いします」と続けた
そして全員の自己紹介が終わり、入学式の会場へと向かい始めた
混雑した教室前の廊下が少し歩きやすくなった頃を見計らい
人並みに倣って目的地へと歩を進めていれば
斜め後ろから心操くんに話しかけられた
「個性…すげえな。どこまで出来んの?」
『あー人も物もなんでもどこまでも出来るよ?』
褒められて少し自慢げに話してしまったが
彼はそれを気にかけることなく話を続けた
「どこまでもって…たとえば服なら繊維まで戻せたりとか…いや、もっとか?」
『アタリだよ』
私は自分の髪を一本抜き
心操くんの前にかざした
『存在する前まで、戻せるの』
その言葉と同時に
私の髪は消えていた
心操くんは少し考えたあと
「それ…怖えな」
と少しだけ小さな声で言った
私はただその言葉に対して
不器用な笑顔を向けることしか出来なかった
『心操くんの個性も、凄いよね。発動条件とかって聞いても良いのかな?』
こういうのって隠してる人もいるじゃん?
少し遠慮がちに尋ねたが
心操くんは別に構う様子もなく