第7章 敵連合
初めて会った時から
お前の纏う空気が心地よかった
食堂でぶつかったあの日
俺は朝から親父に会って苛々してたんだ
ぶつかったのだってそのせいだ
視野が狭くなっちまってた
けど
振り返り
お前を視界に映した途端
気持ちが軽くなった気がした
なあ、神奈
もし俺が
爆豪より早く
お前に出会ってたら
お前は俺を
選んでくれたのか?
疲れて寝転ぶ彼女の髪を
優しく撫ぜても
きっともう
彼女は振り向きはしない
けれど
芽吹き出したこの感情を
止めることも
出来なかった
「…神奈」
『なあに?』
頭を撫でられ気持ちいいのか
少し眠たそうにする神奈を
まるで猫でも相手にしているような気持になる
「爆豪のこと、好きなのか…?」
『ぶふっ!』
唐突な質問に
飲んでたスポーツドリンクを吹き出した
『な…急にどうしたの焦凍くん…』
「前会った時は付き合ってねえとしか聞いてなかったからな」
『いや、答えになってないよそれ』
「聞いておきてえんだよ」
『いや…そういうのは、簡単に答えられるようなものでは……』
「その答えだと、好きっつってるようなもんだろ
意外とテンパると墓穴掘るんだなお前」
『なっ!!卑怯だよそれ!!』
「否定しねえんだな」
『あっあああ!!』
どんどん墓穴を掘っていく神奈は
返答するのを止め、ただ悔しがる
そんな彼女を見て
俺もただ悔しくなる