第6章 体育祭
『それは…っ』
抱き留める腕に力を入れる
「なあ…」
『あ……』
耳元で弱々しい声を出す
それに折れたのは
彼女の羞恥心だった
『……だ、だって……その…
大事な言葉ってのが……
一人生き続けるより
将来、誰より好きになった人と
一緒に老いて死ぬ方が…
その方が素敵な生き方だなって…思ったから……って』
「………は…?」
それ…
それはつまり
「俺が…その対象だからか…?」
『っ!!!ちっ違っ!!!』
腕の中で暴れる彼女を抑え込み
自身のほてりを隠す
「だから言いづまったんだろ」
『違うってんでしょ!!自信過剰やで!!!』
「うるせえな口塞ぐぞ」
『っっんーー!!!』
咄嗟に自分の口をつむぐ彼女を
まるで小動物でも腕の中に収めている様な錯覚に陥る