第6章 体育祭
なぜここで赤面する?
そうなるような明るい話ではなかった筈だろ?
神奈の奇妙な反応に
もう頭が追い付かないでいる
「おま……何に顔赤くしてんだよぶん殴んぞ」
『ひどっ!!』
急にいつもの二人に戻り
俺の胸は少し軽くなる
「ここまで聞いてんだ
全部晒せ、さもなくば死ね」
『言い方ってもんがあんでしょうが』
ムスッとした顔を突き付け合い
彼女が折れるのを待つが
それは一向にやってこず
「てめえ…その頑固直せ」
『プライドで出来てるあんたには言われたくないわ』
「んだとこら!!」
『ぎゃあ!!』
頭を鷲掴み
少し力を加える
『いいいたあああ!!』
「んな力入れてねぇだろが我慢しろや」
『無茶苦茶だ!!』
掴んだ手をそのまま自身に近づける
『ちょっ…!』
当然バランスを崩した彼女がこちらに倒れ込む
それをまた当然のように胸で受け止め
逃げられないよう腰に腕を回す
『ばっ…爆豪……?』
またすぐ顔を染める彼女に
思わず回した腕に力が入る
それは思いの外、彼女との距離を縮めさせ
ふわりと鼻孔を掠める花の香りと
女性特有の柔らかさを
ダイレクトに意識させられた
「っ」
耐える様に眉をひそめ
なんとか言葉を出そうと試みる
「……さっき、何言いかけたんだよ」
『っあ…あれは…その……』
こんな状況でもまだ言葉を言い淀む彼女に
いつもの脅しをかけようかと悩むが
今、キスなんてしようとすれば
おそらく理性とはおさらばしてしまう
「…なあ……俺には、言えねぇ事なんかよ…」
ならばと別の手に切り替える