第6章 体育祭
小さな声で呟かれたその言葉は
きっと音に出すのを躊躇い、苦労した結果だろう
『…例えば私自身を、毎日前日の自分に「復元」すれば、私は細胞が衰えることも、ましてやそれによって起こる老化も、味わうことはないでしょう。
そして、それを生き物にも用いれば、事故以外で死ぬことはなくなると思う。』
「…まじかよ」
現実離れした話ばかりで
頭が痛くなって来た
『あ、でも無機物は「復元」出来るけど、亡くなった人や生き物は、「復元」出来なかった。さすがにそこまでは、神様が許してくれなかったみたい』
「…それでもチートだな」
『そうかも知れない。けどやらないよ。何も。気休めに聞こえるかも知れないけれど、ちゃんと決めてるの。自分の中の禁忌を』
「…禁忌……」
重苦しい言葉だな
『必ず、人の寿命を治療以外の意図で延ばさないこと。例え恨まれても、脅されても、絶対しない。』
それは勿論
自分も例外じゃない
例えこの先
死ぬのが怖くなっても
生き続ける術が
あるとしても