第6章 体育祭
そうして二人で昼食をとっていれば
絞り出したような声が隣から聞こえてきた
「…お前はよ、………好きなもんとかあんのか?」
『へ?』
爆豪からの珍しい質問に首を傾げる
『好きなもの…?』
えっ
それはアンタだけどと答えた方が良いのか?なんて馬鹿げた疑問を浮かべる神奈
そうじゃないだろと
かぶりを振り
脳内にその対象を思い浮かべようとする
『そうだな…好きなものかあ……あ、ネコのぬいぐるみとか好きかな。一時期集め過ぎてベッドで寝れなくなって…』
「ネコだあ…?」
似合わないよね
けど
『昔、ネコ飼ってて……』
そして
私が殺してしまった…
過去形の語尾と
暗くなる神奈の表情に
爆豪はそのネコがこの世には居ないことを察する
「……そういやあ、二駅先に猫カフェ出来たな」
『えっ』
爆豪から飛び出す意外な単語に
脳の処理が追いつかない
「……体育祭、終わったら行くか…」
『!!』
しかめっ面で問い掛ける爆豪に
『うんっ!!』と満面の笑みで大きく頷く
爆豪はなんだか歯痒い気持ちになるが
それよりも
もっと多くの時間を
神奈と過ごしたいと思うようになり
そしてこの機会に
彼女のことを
もっともっと
知っていこうと目論んだ