第6章 体育祭
爆豪は自身の神奈対する態度を改めねばと思い至った
でなければどいつかに
神奈を横取りされちまう
それだけは
許せない
そんな事になったら俺は
正気でいられるんだろうか
「…チッ」
いつの間にかここまで心を侵食していた存在に改めて感服し
まさかこの俺が
女に傾倒する日が来ようとは
少し前までは考えられない現状だな
と、苦笑いを浮かべる
「はあ…」
能天気なこいつを好き勝手して良いのは
俺だけで充分なんだよ
「神奈!」
『へっ!?何?どうした!?』
突如大きな声で名前を呼ばれ
驚き振り向く
「…食堂、もう混んでるだろうしよ、そこらの屋台で何か買うぞ」
『…え?それで良いの?』
確かにその方が手っ取り早くて済むし助かるのだが…
「うるせえ何食いてえんだよ」
しかも私に選択権をくれるのか
『……じゃあ、たこ焼きが食べたいです』
「ベタ過ぎんだろ」
『うるさいたこ焼きは関西人の血肉なんやぞ』
「……お前関西出身だったんかよ」
あれ?言ってなかったのか
目をまん丸くする爆豪に
私も目を丸くする
『そうだよ?私、出身は京都なん』
「…だから簪刺してんのか…こっちじゃあんま見ねえから珍しく思ってたわ」
『ああ!簪!そうなん!これさ実家が呉服店やからこれ刺してへんと何か違和感あってさ!』
「急に関西弁で喋り出したな…」
『あ…』
なんだか地元を思い浮かべていたら懐かしくなって
自然と話し言葉が元に戻っていた
爆豪は、そういえばいままでも何度か言葉尻が方言っぽい発言をしていたなと思い出していた
そういえば俺は
こいつの事をろくに知らねえ
楽しそうに笑う神奈とは裏腹に
爆豪は真剣な顔を浮かべる
ああ
俺が思ってた以上に
事態は進展してなかったんだなと
今更思い知らされた