第6章 体育祭
物間は爆豪にだけ聞こえる声で
「凪山さんに気を遣わせるなよ」と言い
去り際に大きな声で
「あ、凪山さん個性ありがとねー!」
と手を振り、自身の身体を舐めていた
『あっ!!』
一瞬顔が青ざめたが
彼が消えてしまうことはなかったので一安心し
『使うときは時計の針を空想で戻して行くようなイメージでするとうまく行くよー!』
けどやるなら無機物だけにしといてねー!と内心、割とガチで注意したかった
「けっ」
『こらこらメディアの目もあるんだから不遜な態度は慎みなよ?』
「知るか」
まぁ、そうだろうと思ったけどさ…
神奈は少し呆れる
そう言えば、
何が「今度は勝ち」だったんだろうか
謎めいた言葉を残して行った物間に
少しモヤモヤする神奈だが
爆豪はその意味を
理解していた
…俺は神奈に気を遣わせて
ここまでほとんど話もせずに来ちまった
が
あのコピー野郎は
数言、言葉を交わしただけで
神奈を笑顔にして去った
これが俺の敗北だった