第6章 体育祭
『…あの、そろそろ策を練らないと……』
取り敢えずこれ以上話が長引くのもアレだったので切り替える
「あ!そうだな!どうする爆豪!?」
「あ?決まってんだろ、デクの野郎はぜってえ逃げの一手だ。そんで恐らく、いつも連んでる丸顔と馬鹿真面目野郎と組むとしたら、場内を猛スピードで駆けずり回るか、いざって時は空中回避とかするか、そういう手を使ってくんだろ」
丸顔と真面目君の個性の話だろう
猛スピードで走り回るってことは、何か…
足が速いのか?推進力とか?エンジンとか?
んでもう一人は翼でも生えるのかな…?
『じゃあ空中回避した所を急襲すれば…』
「ああ」
「おお!男らしくねえが、意表は突けんな!」
「まあでも、あくまで緑谷がそのメンバーと組めばの話だろう」
『でも、空中からの襲撃はどの相手チームにとっても守備範囲を上にまで広げなきゃいけなくなる様な煩わしいものに変わりないと思う』
「ああ!確かにそうか…!」
「よし、爆豪!警戒怠った奴等からもどんどんハチマキ奪ってこうぜ!もう全チームのハチマキ取るくらいの気概で行こう!!」
「うるせえ、それじゃあ狙いが分散するだけだろが。二頭追うものはなんとやらだ。先ず狙うのは1000万だけだ」
「あー、そっかあ…」
『じゃあ問題は、取りに行くタイミングね』
そう、この作戦はあくまで奇襲
最初の一手で仕留めないといけない
二度目以降は警戒され、上手くはいかなくなるだろう
「それは俺に任せろ」
そう言い切った爆豪に対し
私は何だか安心感を覚えたが
それは私だけではなかった様で
切島君も瀬呂君も「分かった!」とだけ答え
爆豪を頼りにしているみたいだった
そんな風に
友達から頼られる爆豪を見て
何だか私は
嬉しい気持ちで一杯になった