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【弱ペダ・荒】あなたに

第1章 終わりと始まり


あのレースの後に次のレースが決まった。2位とかほざいてんじゃねーぞ鉄仮面とか思ってたら、なんだアシストって。アシストあったら俺は本当に優勝できんのか?マジか?現実をひっくり返せる時が来た事に笑みがこぼれ
「苗ー!」
と、その名を呼んだのは久々な気がした。
突然クラスに現れた荒北は
「週末あけとけ」
そう言い放って部活に行ってしまったが、すぐにその誘いがレースだとわかった。しかし自転車のレースとはどこで見るのが良いのか考えていると丁度良いところに良い人達。
「今、丁度良いとこにとか思ったろ」
「ゴールで待て」
新開と福富に先に言われてしまい、結局頭を下げるだけでその場を後にする。
「本当にその通りとか」
と笑う新開と名を見送る福富。しかし名は戻ってきて
「どこでやるの?時間は?!」
と、詳細をきいて向かえた週末。
名から会場に来ているとのLINEが入り、何処に居るかも気になったが、来ているなら何処でも良いと気を引き締めた。
スタートの列に並び、合図がする。走りだせばもうひたすらに前を見て走る荒北。一方、名は数時間経っても順位のアナウンスに荒北の名前があがらず心配していた。けれども、途端に名が挙がったと思えばあっと言う間に上位にくいこんできた。
辛い、きつい、たまらない。心臓が張り裂けそうになる。なんたって、こんなもんを見つけてしまったのか。けれども現実ひっくり返せるのはこれだけだ。バカやって、何もなくて、あぁ名だけが居たか。
俺に近づくなんて周りからどうみられてたんだか。
そう思い笑えてしまう。ひたすら走り、気づけば集団も先輩も抜かして福富が後ろについていた。
「行くぞ」
と前に出て荒北を引いていく。その間、進んでいく風景と共に体の無駄なところが全部剥がれ落ち、気持ちが、視界が鮮明になっていく感じがした。
「出ろ!」
そう言われて押されて飛びでれば目の前には誰も居ない。また階段を1つ登った感じがし、気づけば歓声の中にいた。
息苦しい、後ろで福ちゃんがゴールしたのが聞こえる。手の感覚ねぇ、足もだ。あぁ、もう倒れたい。
「靖友!!」
倒れかけたところを部員に助けられながら、視線の先に名を見つけこんなとこに居たのかよと思いながら荒北は一位をとって気絶した。
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