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【弱ペダ・荒】あなたに

第1章 終わりと始まり


大丈夫かと言うのは怪我ということがだろうか、
「怪我とかしない?」
と名が続けてやっぱりかと思う。
「結構回しているけど無理はさせてないと思うよ。彼、運動神経あるみたいだし大丈夫」
大丈夫と聞いた途端苗の表情は明るくなり、ひと安心した様だった。
「苗さん、彼の昔の事知ってるね?」
そして、この質問には慣れている様で
「知ってるけど、荒北が話さないなら話さない。」
笑顔の返答に意志は固そうだと諦め、他愛ない話をしていった。バイクに乗っていた時から名を送っていた事を知り、女っ気のない荒北の意外な一面を知った。
「最近は部活頑張ってるから送ってもらえないけど」
けれど、そちらの方が良いと名は笑い荒北との楽しかった話をしていく。それを本当に楽しそうに言うので
「腐れ縁なんだね」
と返すと笑顔を返され、別れ際名は改めて荒北をよろしくとお願いしていった。
ある日、名はいつもの様に荒北と昼食をとり、
「テスト勉強してる?」
「してネ」
即答の荒北に、まぁあれだけ部活をしていれば仕方ないかと思いつつ、本当に福富君はこいつの何を気に入ってくれたのかと思う。
「あれだよ寿一」
あの後、今度は名から新開に声をかけて廊下の物影から福富を教えてもらった。靖友を見つけてくれたその人は、同い年とは思えぬしっかりしたきちんとしている雰囲気の人で
(福富君に頼んで、文武両道タイプにしてもらわないとな)
と、空を見上げ荒北がこの高校に来てくれて、福富君が此処に居てくれて、自転車部があって本当に良かったと思う。
「部活、楽しそうで良かったね」
「楽しくねーよ、あんなん」
悪態つく荒北だったが、昔のとげついた感じは消えていて
「荒北を拾ってくれてありがとうございました」
と、新開と福富、荒北が一緒に居るところを見つけた時に自然と福富に向かってそう口にしていて、そのまま通りすぎると
「ざけんじゃねーぞ!!!!!」
と後ろから罵声が飛び、目があった新開は笑っており、福富は相変わらず無表情だったが、キョトンとしている様にも思えて少し可愛く思えた。
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