第5章 意識してる
そして休日。寮ででかける素振りの新開に声をかける東堂
「でかけるのか?」
「そ、名とデート。」
そうかと見送り、食堂前を通るとその姿を眺めていた荒北
「よく許したな荒北」
「うっせ、名が良いっつーんだから良いんだよ」
「本当に馬鹿だな」
「ほっとけ!」
「お前達がどうしてくっつかないか些か不思議だよ」
そう笑いながら自室に戻っていく東堂に
「止められねーよ」
とまた思う荒北。一方
「おはよ」
「おはよ新開君」
と待ち合わせ場所で落ち合う二人。
「悪いな付き合ってもらって」
「ううん」
店に行くとクラスメイトでもある宮田君が入り口に居て
「時間通り」
「よろしく宮田」
「むしろ、部活中に見てやれなくてごめんな」
と仲良く話す姿にあっけに取られていると
「あれ?苗さん俺が自転車部なの知らなかった?」
と笑われる。宮田はメカニックとして部の一員でここは実家であり、部活中にみれなかった新開のバイクを休日にみておくということだった。
「じゃ、預かっとくわ」
「ん、帰りに取りに来るから」
「あんまり遅くなるなよー」
とにやつく宮田に門限あるからなと笑う新開。
「さて、時間まで如何しましょうかお嬢さん」
「ど、どうしよう。」
自転車屋に行くだけと思っていたので、時間があくとは思ってなくノープランだった名。まぁ、それは新開にはしてやったりといった所で
「甘いものでも食べに行かない?この辺りに美味しいお店あるんだ」
「行く!」
即答でテンションのあがる名を愛しく思いながら、住宅地にある小さいお店に入る。店内にはタイヤが掲げてあり、一瞬でロード好きの店だと察する。
「新開君がここに女の子連れなんて珍しい」
「荒北の幼馴染みですよ」
あらあらと笑うその女の店員さんは新開と顔馴染みの様で、
「荒北も来るの?」
「と言うか、宮田に自転車預けるのと皆自然にね。宮田のお義姉さんだし、ウチの部のOGだしね。御用達ってやつだよ」