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【弱ペダ・荒】あなたに

第4章 一度目の夏を


「焼きそば、たこ焼き、串焼・・・」
「わたあめ、リンゴ飴、チョコバナナ・・・」
「どれから行きますか名さん?」
「やっぱり男の子ですからお腹に溜まるものからですか新開さん?」
屋台通りでそんな会話をする二人。結局、それぞれが食べたいものを買い集め、適当な石段を見つけ腰かける。
後ろに東堂、荒北その前に福富、新開、名が座る。
「本当にみんなと祭に行けるなんて」
とはしゃぐ名に理由を聞けば、荒北と地元の祭に行った時にそんな話をしていた事を知る。
「その時は浴衣だったの?」
「うん、今日帰ってきたばかりだから時間なかった」
「そっか残念」
「来年は着てくるね」
そう言う名に
「来年は二人で行きたいな」
とひっそりと伝えると真っ赤になる名
「名の浴衣姿ちゃんと見てみたいからな」
「部活中の苗さんはよく見るからな」
「名だったらなんでも似合うだろう」
そう口々に言われて照れてしまう名。そんな名に近づきあと一言と思った時、後ろからたこ焼きを持った腕が伸びてくる。
「ん」
「あぁ、はいはい」
そのたこ焼きを受け取り、名が食べていた焼きそばを靖友に渡してた。
「あ、いつもこんなで」
「そーなんだ」
早くよこせと言わんばかしの荒北に応ずる名の姿を見て
(分かってやってるだろ靖友ー)
と少し苛立ちを覚える新開。
(全く危ねー。っーか何照れてんだよお前は!!)
後ろから見ていて、新開が名に近いのは分かった。そして照れている名も、新開がまた近づきそうになった時、次はねぇと思って割りきる様に腕を伸ばした。まぁ、もともといつも名が食べたいのが決まらず半分ずつするので別に自然な事だ。
「全く、食べるの早いんだからー」
そうやって靖友と焼きそばとたこ焼きを交換してたこ焼きを頬張りながら隣に座る新開君を見る。整った顔立ち、私服姿は少し新鮮で、筋肉はついているものの靖友の見た目から細いのと違って出来上がってる感じのする体つき。
(男の子って、こんな感じなんだろうか)
少しどきどきするのは校外だからか、夏のせいか、はたまた新開が格好いいと思う自分のせいか、荒北の心配をよそに名の胸内は心臓が早まるばかりだった。
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