第2章 気に入られた子
「しょーがねーから俺がよぉ!一周付き合ってやんよ!」
そう言って靖友が先頭きって回していく、
「何!てめぇらまでついてきてんだよ!!」
「それはならんねぇ!事情を知ってしまったからねぇ」
と東堂
「ウッゼ」
「ウザくはないな!」
東堂と荒北がやり合っている中
「寿一ありがとな」
すると
「俺はお前が必ず戦力になると信じてるだけだ。
必ず箱学を優勝に導くと信じてるからだ。」
そう言われ、福富に言われたらやるでしょ?と言っていた名を思い出す。部室に着くと、外で待っている名の姿。
「あのバカ、中で待っとけつったろ」
とメットを取りながら言う靖友、
「外で待ってんじゃねーよ!」
そう声をかけると名は
「お帰りなさい!」
と笑顔で俺達を迎え入れた。
「勝手にキレイなタオル持ってきちゃった」
「勝手に備品使ってんなよ」
そうは言ってもタオルを手に取り使う靖友。寿一、尽八にもタオルを手渡し俺の番。
「お帰りなさい」
「おう」
良かったと言わんばかりの笑顔にやられたと思った。
「名」
「なーに?」
バキュン。と指で名を仕留める。何をしてるのか不思議がる名。
「ありがとな」
そう言えば、ううんとまた笑顔を向けてくれる名。
恐らく今日を逃したらダメだったと思う。
寿一に名のおかげもあるって言ったら怒るかな。
同じクラスに居てくれて、俺をひいてくれて本当にありがとう。
君が居てくれて良かった。
好きだ名。
(そうは言っても)
新開が目をやる先は
「俺だけ濡れてけってか!?」
「傘持ってない奴が悪い!」」
とやりあう二人の姿。
「もっとそっち行け」
「傘ないのは靖友の方でしょ」
相合い傘なんか見せつけられて
(なによりも)
無意識なのかもしれないけど
『靖友も言ってた!』
呼び捨てかー。
(手強そうだー)