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アイナナ夢

第33章 Rey25,2(大和視点)



社長が下がってSchatzの前奏が流れる。
俺もバックに音があるのを聴くのは始めてだ。

『近くにいるのに伝えられない 伝えたら離れていきそうで 遠くで見ることしか出来ない私の宝物』

いかにもアイドルという感じではなかった。
ここにいるのは歌手としてのRey。そう思う他なかった。
男性キーの圧倒されるのとは逆に引き込まれるような綺麗な歌声。
俺があの時思わず「綺麗だ」なんて言っちまったぐらいだ。
それにこの歌詞…なんか………Reyが片思いしてるみたいだ……。

『-------どうすれば伝えられる?』

ここにいたメンバーが黙ったままだ。
聴き惚れちまったんだろうな…Reyにはそんな実力があるんだから。

「Reyさん…あなたは女性ウケが良さそうですね」

記者の言う事はわかる。
でも男のファンも付くだろこれ。

『えっ、な、何故ですか!?』
「そのルックスに両声類。これで女性ファンがつかない訳がないでしょう。私CD買いますね」
『え、えっ、ちょ…わ、わたし…』
「普段はかっこいいのに実は可愛いんですね。女の子はギャップに弱いですから」
『しゃ、社長…ど、どうしよ』
「予定とは違うけどこれはこれでいいんじゃないかな!」
『そんなあああああああ』

あ、やばい。
零の素の状態が晒された。
こんな姿見せたくねえのに。

「やばい。オレなんか目覚めそう」
「兄さんダメですよ」
「Reyに近づくなよ?」
「ヤマさんってReyのなんなの」
「うーん…お兄さん???」

そういや考えたことねーわ。





◇◇◇




Reyが事務所に戻ってくると、やっぱりあのネタで持ちきりだった。
まあ…無理もないか。

「Reyさん女性だったんですか!?」
「素直に騙されてくれるリクは素直だなー」
『というか私…男って言った覚えないけど』
「前髪上げたら零にそっくりじゃね?」
「タマキの目は節穴ですか?どう見てもReyは零です」

へえ…ナギの奴気付いててなんも言わなかったのか。
もしかして策士なのか?

「言われて見たらそうかも…?」
『え、ナギさん気付いてたの?』
「どこまで気づかないか様子見てました」

結局零も他の奴らも気づかなかった訳だからいっぱい食わされたってところか。
案外ナギを敵に回す方が怖いかもな。

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