第33章 Rey25,2(大和視点)

「えーーーReyさんって音無さんなの！？」
「先程からずっとそう言ってるでしょう…かわ、んんっ」
「てことは大和さんは初めから知ってたのかよ！」
「おう」
「おう。じゃねえよ！」
「ぐほっ」

ミツの野郎…鳩尾に入っただろうが。
イッテェ…。

「その辺にしてあげて、零さんにも事情があったんでしょ？」
『今更だけどちゃんと説明します…』

零は表向きな理由だけを掻い摘んで説明した。
俺が知りたい事は何も言わない。

「お兄さんそれ以外にも知りたいことあるんだけど」
『それ以外って大和さんは全部知ってるでしょ』
「いーや？八乙女との関係が知りたい」

零の素ぶりからして俺らと会う前から知ってるみたいだし？
俺が知らない零をあいつが知ってるのかって思うとすっげー腹たつ。

「八乙女ってTRIGGERの八乙女楽？」
『う、うん…まぁ…、ぁ』

零のスマホに着信が入ったらしい。
顔をしかめたから噂をすればなんとやらってやつだ。

「もしかして八乙女？」
『…………はい』
「出ればいいだろ」

遠慮しつつも電話に出る零。
後ろめたいことでもあんのかな…。

『もしm…私じゃなかったらどうするの』

タメ口だし、知り合いなのは明らかなんだけどな。
実際に話してるところは初めて見たわ。

『口説き文句は間に合ってるから。で、要件は？』

「く、くど…」

俺の中の何かがキレそう。
八乙女相手だからなのかは知らないが。

「ヤマト顔が怖いでーす」
「必死だなー大和さん」

『恥ずかしいからその話しないで…それに今事務所で…って、あ！？』

この際本人から聞いてやろう。
メンバー全員が承認になれば分かりやすいだろ。
俺は零からスマホを取り上げてスピーカーをタップした。

「どーもうちの音無零がお世話になってます！！！」
《誰だお前》

分かりやすく不機嫌だなこいつ。
零に気があるのか？

「IDOLiSH7リーダーの二階堂大和だけど？」
《あぁ、あの眼鏡か…それでなんでお前が零の電話に出てんだよ》
「悪い虫がついてるから取ってやってるだけだっての」
《悪い虫ってお前のことじゃねえのか？》
「…はあ？」