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アイナナ夢

第39章 Rey29




「私はともかく、貴女を危険に晒すわけにはいきませんから」
『何気に私のこと女扱いしてるよね』
「女性なのですから当たり前でしょう」

それもそうだけど、一織はさっきからずっと前を見たままこっちを見ようとはしなかった。
歩幅は合わせてくれているみたいだけど…。

『と言うか…一織って私の家知ってたっけ…?』
「おおよその位置は知っています」

私のプロデュースがしたいなんて言うからそのくらいは調べてあるのかな。
一織だから安心できるって思うところは正直ある。
私より年下なのにしっかりしててすごい。

「…私が送るように買って出たのには理由があります」
『理由?』
「貴女の声には人を惹きつける何かがあります。確信…している訳ではありませんが…何か心当たりはありますか?」
『心…当たり…』

私は楽に言われたことを思い出した。
“おそらく既に何人もハート掴んでる”
人を惹きつけるってそういう事…?
その前に惚れ直したとかなんとかって…わ、忘れろ。私。

『とある人に言われたんだけど…私の歌はハートを掴むって…』

あえて名前は伏せる。
家の近くの交差点に来たところで一織の足が止まった。

「誰のことかは察しはつきますが、恐らくそれは当たり…でしょうね。全く…これ以上ライバルを増やして欲しくないですね」
『…?ライバルってなんの話?』
「っ!」

一織がハッとして手で口を隠した。
恥ずかしい時とかこういう仕草してる気がするけど…。

「いいえ、なんでもありません。貴女の家はこの先でしょう?私が行けるのはここまでです」
『ありがとう。また明日』
「ええ…」

私は振り返らずに家を目指した。

「本当に…貴女って人は…」
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