• テキストサイズ

アイナナ夢

第32章 Rey25




『近くにいるのに伝えられない 伝えたら離れていきそうで 遠くで見ることしか出来ない私の宝物』

いつものアップテンポの曲ではないせいか、会場が静まり返る。
私だってバラード曲は不慣れだけど…これまで練習だけはやめなかったし、大和さんにも良いって言われたんだ。
自信を持たないでどうする。

『-------どうすれば伝えられる?』

歌い終えて私は深く頭を下げる。
すると拍手が聞こえた。
手前にいた女性記者が私を見た。

「Reyさん…あなたは女性ウケが良さそうですね」
『えっ、な、何故ですか!?』
「そのルックスに両声類。これで女性ファンがつかない訳がないでしょう。私CD買いますね」
『え、えっ、ちょ…わ、わたし…』

素が出そうになるのを必死に堪える。
ここで耐えなきゃ私はダメになる。

「普段はかっこいいのに実は可愛いんですね。女の子はギャップに弱いですから」
『しゃ、社長…ど、どうしよ』
「予定とは違うけどこれはこれでいいんじゃないかな!」
『そんなあああああああ』





◇◇◇




記者会見での私の絶叫は余すところなく放送されてしまって私は穴があったら入りたい。
でも、あの会見で性別を不審に思ってる人もやっぱりいた訳でネットでもやっぱり"性別:Rey"の方が圧倒的に多かった。
でも一番困ったのが事務所での対応かもしれない。

「Reyさん女性だったんですか!?」
「素直に騙されてくれるリクは素直だなー」
『というか私…男って言った覚えないけど』

隠せとは言われたけど。
正直ここまで信じてるとは思わなかった。

「前髪上げたら零にそっくりじゃね?」
「タマキの目は節穴ですか?どう見てもReyは零です」
「言われて見たらそうかも…?」
『え、ナギさん気付いてたの?』
「どこまで気づかないか様子見てました」

ナギさん…侮れない。
つまり私が零と知ってて口説きにも来なかったという事…?
口説かれても困るけど。

「えーーーReyさんって音無さんなの!?」
「先程からずっとそう言ってるでしょう…かわ、んんっ」
「てことは大和さんは初めから知ってたのかよ!」
「おう」
「おう。じゃねえよ!」
「ぐほっ」

三月さんが大和さんのこと殴ってるしどういうことなの…。
お腹押さえてるけどこれ入ってない…?
/ 117ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp