第31章 Rey24
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私が事務所を辞めたことになってから数日後、晴れてMEZZO"がデビューをすることになった。
それで…私はと言うと……
『き、記者会見…』
「MEZZO"のデビューの時の様に題材的にやろうと思う。大丈夫。僕も会見に参加するから」
『社長直々に…?』
「そうだよ。Reyくんを守るのも僕の仕事だからね」
守るって何からだろう…。
芸能界だから、多分マスコミとか過激ファンからかな。
マスコミは兎も角、私に過激ファンなんて聞いたことがないけど。
「デビューは2週間後だ。その間にジャケット撮影やレコーディングをするから準備だけはしておいて」
『は、はい…』
私…ついにデビューしちゃうんだ…。
しかも2週間後ってすぐじゃない。
私やれるのかな……。
◇◇◇
MEZZO"が活動するようになって、IDOLiSH7の方もウェブ番組やらなんやらで忙しくなり私と会うこともほとんどない状態だった。
その間に付きっ切りになってくれたのは社長と万理さん。
そろそろ人手不足のことも考えた方がいいんじゃないかなって思う。
近い将来、倒れる人が出て来てもおかしくないから。
『んーーー疲れたーー』
私はレコーディングも撮影も一通り終えてレッスン室で休憩していた。
ここ1週間働き詰めで休んでなかったかも知れない。
それもデビューまで残り少ないから仕方ない事だ。
『Schatzってドイツ語…?意味は…宝物?』
バラード曲のタイトルがよく分からなくて調べていた。
発音はシャッツ…?
『特別な相手にも使う言葉…?あぁ、だから片思いみたいな歌詞なんだ』
好きって言葉は入っていないけど、相手が好きなんだなって伝わる歌詞。
でもそれなら一織はどんな気持ちでこんな歌詞書いたんだろ…。
しかも作詞した人は公表しないでって…自分を売り出すにはいいと思うのに。
『"近くにいるのに伝えられな"…っ!?』
ノックもなしに扉を開ける人なんて一人しかいなかった。
久しぶりに顔を見た気がする。
『大和さん、開けるならノックしてよ』
「悪い悪い。でも俺以外近くにいないぜ?」
『それで何の用?』
「お前さんに会いたかっただけ」
『会いたかったって…お互い忙しいの知ってるでしょ』
私も正直に言えばアイナナのメンバーに会いたいなとは思ってたけど…。
それが向こうから来るとは思わなかった。