第30章 Rey23,5(大和視点)
帰りのワゴンでは零と席が離れ離れになった。
「二階堂さんは反省してください」
「……」
隣に座るイチに俺は返事が出来なかった。
俺の意識があったのが良いのか悪いのかと言われたら正直微妙なところなんだが…。
無かったら無かったで自己嫌悪すると思う。
「なあイチ」
「なんですか」
「俺って零の事好きなのか?」
「はあ?どうしてそれを私に聞くんですか」
イチが呆れたように言う。
答えになってないけど。
「そうだよな…今のは冗談だから忘れてくれ」
「冗談だったら良いんですけどね」
「どう言う意味だ」
「二階堂さんに答える義理はありません。ただ…」
「ん?」
「彼女を見ている人は貴方だけじゃないですよ」
「………そうだな」
俺の脳裏に過ぎったのはあいつの名前だった。