• テキストサイズ

アイナナ夢

第28章 Rey22




『……私にそんな話を振るということは何か変化があったんですか?』
「今日の問い合わせの電話、何件あったか知ってるかい?」
『知らないですけど…』
「Reyの問い合わせだけで30件だ」
『………本当ですか?』

小さな事務所だ。
問い合わせでその件数は異常だ。
それも私に対してだからおかしい。

「こんな嘘は言わないよ。至急で曲を作りたい。A面B面の両面シングルだ」
『りょ、両面…』
「両声類…出来るね」
『練習はしてます。まさか…デビュー曲でやるんですか…?』
「そのまさかだよ。インパクトを付けてデビューしたほうが心にも残るからね」

確かに出だしが肝心なのはわかる。
でもテレビに一回出たくらいの私にデビューなんて出来るのだろうか。
私こそすぐに潰れてしまうんじゃないか。
そんなことを考えてしまう。

「A面の曲はすでにデモも出来ている。問題はB面なんだけど…作詞してみない?」
『わ、私が…?今さっき至急って言いましたよね!?』
「うん。特にテーマは設けないから自由に考えていいよ」
『それがいちばん困るんですけど…』

作詞どころか詩も学校で書いたっきりだ。
無理難題を押し付けられている気がしてならない。

「流石に本業じゃないと難しいかな」
『自覚あったんですか』
「それじゃあ零くんが作詞する曲は次回にしようか。ちゃんと考えておくんだよ」

それってセカンドシングルも考えてあるってこと…?
私に自分の曲が2曲しかないと言うのもあるけど…早過ぎないかな。

『は…はい…』
「そうと決まれば、出かけようか!」
『ど、どこにですか…』
「みんなでバーベキューしよう!零くんはReyで来るんだよ?」
『あぁ…解雇ってそう言う…』

ここに音無零がいたらおかしいんだ。
つまりこれからはReyとして事務所の出入りをしなきゃならないってこと…でいいんだよね?
でも…デビュー時に性別も言う手筈だし…どうすればいいんだろ。

「デビュー後なら隠す必要もないから普段通りで構わない」
『…でも今更って感じしますけど。メンバーだって普通に接してくれるかもわからないし……』
「親睦を深めるのが目的だから心配する必要はないよ」
『…はぁ。それじゃあみんなを集めて来ます』



/ 117ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp