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アイナナ夢

第28章 Rey22


22

ミュージックフェスタを終え、デビューが決まったのは壮五さんと環だけだった。
元々そういう約束だったから仕方ないと言えばそれで終わってしまう。
二人のデュオ名はMEZZO"と決定した。
そして私は個別に社長に呼び出されていた。

「零くん」
『話は何ですか』
「MEZZO"をデビューさせるにあたって異論はないかい?」

今更なにを聞いているんだろう。
そんなこと、聞くまでもない。

『ある訳ないです』
「本当に?」
『……本当は嫌ですよ。みんなでデビューして欲しかった。でも今のままじゃ潰れるのだってわかってる』
「うん。それが分かっていれば十分だよ。ここからが本題だ」

社長が私の目をじっと見る。
目を逸らしたくなるような目ヂカラを感じる。

「本日付けで君を解雇しようと思う」
『……え?』

今なんて言った…?
解雇…?私が解雇…?

『私が必要なくなったってこと…?』
「そういう訳じゃないんだけどね」

言っている意味がわからない。
必要じゃないって意味じゃないなら一体どんな意味なの。

「君を正式にアイドルして迎えたいからね」
『正式に…?』

私が小鳥遊事務所で事務員になってすでに5ヶ月近い。
とっくに研修期間なんて終わっているし、最近ではほとんど事務なんてしていなかった。
万理さんにはすっごい迷惑をかけていた自覚はある。
土下座だけじゃ済まないと思う。

「そう。Reyくんとしてデビューしてもらいたいんだ」
『IDOLiSH7を差し置いて…?』
「何を言っているんだい?アイドル稼業は戦国時代みたいなものだよ?後から来た子が早くデビューするなんてことはよくあることだ」
『分からなくはないですけど…』

下克上なんて言葉が似合う世界だ。
そのくらいの気概がなければすぐに消えてしまう。

「デビューすることに対しては否定的じゃなくなったように聞こえるよ」
『ある人を見返してやりたいって思ってるんです』

それもあるけど、聞いてくれる人のために歌うってどう違うんだろうとも考えるようになった。
そのためにも私はメディアに出なくちゃいけないと思う。

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