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アイナナ夢

第27章 Rey21




「Rey…さん」
「HEY!そろそろ準備いいですか?」
「はは…執事扱いしやがって。いいぜ、なんかやってやろうぜ。マネージャーのためだ」
「はは、そうだな…。一番最初はマネージャーだけが俺らの観客だった」

その頃のIDOLiSH7は私は知らない。
結成したばかりの頃だろうか。
私だけが取り残されている感はどうしても否めない。

「歌おう…突然のバスケの後で、嵐の中で、ガラガラの客席の中で、僕たちはいつも歌ってた」
「それは全部無駄なんかじゃない。どんだけ無様だっていい。…聴いて欲しいんだ。もっともっと、観て欲しい」
「ほら一織も…。お前がいなきゃ始まらないよ」
「七瀬さん…」
「笑って。みんな笑ってよ。みんなに笑ってもらうのが好きだ!そのために歌ってた!」

そっか…私が陸やみんなとなにが違うのかがやっとわかった。
ファンや聞いてくれる人のために私は歌ってはいない。
全部自分が満たされたくて歌っていたんだ。
全部……自分のため。

「そうだよ忘れてた。今日は最高の日だ…生まれて初めての経験ができるんだぜ!」
「…なんですか?」
「泣いてる弟をハグして慰めてやんのさ!」
「わ…っ」

自分より身長の高い一織にハグする三月さん。
見ていて微笑ましいだなんて…言えるわけがない。

「頑張ったな一織。よーく頑張った」
「…っ、…や……やめてください!恥ずかしい…」

口では嫌がっているけど、表情は満更でもなさそうだった。
なんでも出来たが故に甘えることを知らなかったんだろう。

「オーライ!それでは紡、魔法の言葉を」
「プリーズ…ミュージック!」

優しいメロディを口ずさみながらナギさんと紡さんがくるくる踊る。
それを一歩引いた場所から私は見守る。
そんな私に大和さんが近づいて来た。

「俺たちに遠慮なんかしなくていいんだぜ…?」
『でも…』
「なら俺と踊ろうぜ」
『どうしてそうなるの…だいたい私…今Reyだし…』
「…じゃあ零なら俺のこと慰めてくれるんだな……」

耳元で呟かれた言葉は今にも消えそうだった。
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