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アイナナ夢

第26章 Rey20




「Reyさん、すぐ行けますか?」
『大丈夫、…行ける』

楽に会えたせいか、緊張していたのが嘘みたいだ。
なんとしてでも成功させなきゃ行けない。

『先に行ってるよ』
「お願いします!私はメンバーに伝えて来ます!」



◇◇◇



「続きましてインディーズアーティストライブ!トップバッターは…性別非公開の謎のソロアーティストReyに登場してもらいましょう!」

司会のミスター下岡さんに呼ばれ、私はステージ上に立つ。
そこに待っていたのは、歓声ではなく「誰?」「見たことある?」「路上ライブしてた人だ」という声ばかり。
私の知名度なんて所詮こんなものだ。気になどしていられない。

「それでは自己紹介をお願いします」
『Reyと申します。テレビは初めてですがよろしくお願いします』
「初めてという事ですが、緊張してるかい?」
『いえ…私の歌を聴いてもらえるチャンスなので頑張ります』

そう。これはチャンスなのだ。
ここで歌えれば…怖いものなんてない筈だ。

「性別非公開と言うことですが、どうしてですか?」
『それは私がメジャーになってからのお楽しみにしてください』
「それは楽しみですね。それでは早速スタンバイお願いします」
『はい!』

私はマイクを手にする。
この時のために出来た新曲。
アップテンポで力強い…元気が出る歌詞。
私自身が解き放たれるような…そんな歌だ。

『ちっぽけな世界から飛び出して行け———ッ!』

会場が震え上がる。そんな感覚だ。
一曲歌い終えると、想像もしていなかった歓声が巻き起こった。
歓声に混じって「かっこいい」とか「デビューして」「本当に性別どっちなの…?」なんて声まで聞こえた。
だ、ダメだ…感激して泣きそう…。

「す、凄い新人でしたね…震え上がるというのはこういう事なんでしょうね。Reyにもう一度大きな拍手を!」

これを拍手喝采って言うのだろうか。
とても気持ちがいいし、ここに自分が立っていると言うことが信じられない。
な、何か言わないと…

『わ、私の歌を聴いてくれて…あっ、ありがとうございました!』
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