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アイナナ夢

第26章 Rey20




「…あんた、大丈夫か?」
「は…はい…」
「……あいつの愛人だか拾われた新人だか知らねえけど。あまり、深入りするなよ。いいことなんもねえぞ」

紡さんになんて事を言うんだ。
私と話す時の楽とはなんだか違う。
それに…私に気付いてない?

『ちょっと』
「愛人じゃねえのか?」
『…八乙女』

名前呼びは不味いと思ってあえて名字で呼んだ。
すると楽の表情が柔らかくなった気がする。

「お、おま…!いたなら先に言えよ!」
『貴方が気付かなかっただけでしょ』
「……Rey?」
『はい』

あくまで他人のフリをしようとする。
別に特別な意味なんてないけど、知り合いとか友達だって知られたくなかった。

『挨拶回りで来ました。私は小鳥遊プロダクション所属のReyと言います。よろしくお願いします』
「おいおい、随分他人行儀だな」
『その通りですよ』

楽には悪いけど、こういうことにして欲しい。
他人行儀な態度を取ったら緊張していたのが落ち着いて来た。

『ほら、紡さんも』
「同じく小鳥遊プロダクションのIDOLiSH7担当の小鳥遊紡と申します!また改めて楽屋にご挨拶…」
「…悪いけど、忙しいから」

楽に私がどうしたいのか伝わったのかは分からない。
でもさっきの冷たい目に戻っていた。

「先日は誠に申し訳ありませんでした!ライブの後…」
「ああ…はいはい。じゃあ、どうも」
「お時間いただいて、ありがとうございました!本日はよろしくお願いします!」
「………今日、期待してっから」
「あ、ありがとうございます!」

紡さんが深く頭を下げると、楽はそのまま反対側へ行ってしまった。
急によそよそしくなったりなんなの…って人のこと言えないか…。

「八乙女楽が期待してるって言ってくれた…」

期待してるって私に言ったのか、IDOLiSH7に言ったのかどっちなのかは私には分からなかった。
私と紡さんの前にスタッフが走ってくる。

「ああ、いたいた!小鳥遊さん!Reyさん!」
『は、はい』
「ごめん!伝達漏れちゃって!他のアーティストの到着が遅れて急遽、出演早まったから!すぐにスタンバイして!」
「わ、わかりました!」

インディーズ枠で調節なんてことは察した。
所詮メイン枠ではないんだから当然ではある。

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