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アイナナ夢

第19章 14,5(基本大和視点)




「タクシーを捕まえてきますから大和さんは身体だけでも拭いていてくださいね」
「…!俺もこのままじゃ風邪引くか」

自分のことなんて二の次だったみたいです。
零さんのこと、大事に思っているんですね…。




◇◇◇




駅からそう遠くない事は知ってた。
あの状態で運ぶってのは酷ってもんだろ。
レインコートを脱がせ、そのままタクシーで零の自宅に着いた。
…アパート暮らしだったのか。

「私が荷物持ちますから、零さんのこと運んでください」
「あいよ」
「ええと…鍵は…あ、ありました」

悪いと思いつつも、零の鞄の中から鍵を取り出すマネージャー。
鍵を開けて中に入るも、本当に女の子の家なのか疑いそうだ。
家具がほとんど黒で統一しているし、女の子って感じなものがない。

「服は…ありました。私が着替えさせますから大和さんは見ないでくださいね」
「あ、あぁ…」

年頃の女の子…だもんな。俺は背を向ける。
見てないとは言え、俺も男だし背後で着替えとか俺がどうにかなりそう。

「終わりました。ベッドに寝かせてあげてください」
「了解」

これだけ動かしてるのに目を覚まさない。
このまま起きなかったらどうしよう。そんな考えまで出て来た。

「私、軽い食べ物と飲み物買って来ますね。大和さんはどうしますか?」
「ここにいる」
「分かりました。変な事はしないでくださいね」
「しねえよ」

冗談交じりにマネージャーが俺を笑わせに来たらしい。
俺…そんなに酷い顔してたか…?

「すぐ戻って来ますね」
「行ってらっしゃい」

マネージャーが買い出しに行ってすぐ俺は零の様子を見る。
さっきと表情が違う…?なんか苦しそうだぞ?

『すきで、こん…声…』
「寝言…?」
『や、だ…見な…いで…』

……零の頭を撫でてやる。
嫌がる素振りは無かったけど、苦痛の表情は変わらない。

『……う、…いたい、…に…』
「痛い…?お前さん過去に何があったんだよ…」

もしかしたら俺たち、似た者同士なのかもな…。
……俺のことは話せないけどさ。

『やま…、さん……なんで…』
「俺…?」

夢に俺が出てればいいんだけどな。
それとも別の誰かかも知れないし、そう言えば零の友人関係全く知らないな…。
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