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アイナナ夢

第18章 Rey14




『そうだスマホ…』

確かバッグに入れっぱなしだったはず。
そのバッグはどこにあるんだろう。
なるべく音を立てないように起き上がり立ち上がろうとしたんだけど…足元がおぼつかなくてクラクラする。

『あ』
「ぐへっ」

気付いた時にはもう遅かった。
大和さんにつまづいてそのまま膝にダイブしてしまっていた。

「悪い寝てた」
『ぁ、いや、そうじゃなくて…今すぐ退…!?』

身体を起こされたと思えば、掴まれて身動きが取れない。
……大和さんの胸の音が聞こえる。

「お兄さん寂しかった」
『そんなに、寝てた…?』

なんか…凄く話難い。
大和さん離してくれないかな。

「8時間くらいか?」
『ライブが夕方だから…大和さん今いつ!?』

慌てた私に気付いたのか、腕から解放される。
血の気が引けるって言うのはこう言う事だと思う。

「日が変わったぐらい」
『う…ところで大和さんずっといた…?』
「お前さんの寝言も聞いたぜ?」
『ね、寝言って…変なこと言ってないよね…?』
「言ってない」

そう言いながら遠くを見つめるのやめてくれませんかね。
私がおかしなこと言ったって認めてるようなものでしょ。

「本調子に戻ったみたいだし、お兄さん帰るわ」
『帰るって…終電残ってる…?』
「タクシー捕まえるから問題ねえよ。それに…成人前の女の子の家にいたら俺どうかしそうだし」
『散々いたくせに』
「期待してた?」
『全くしてません』

一体大和さんは何を言っているんだ。
止める理由もないので帰ってもらった方がいいと思う……。

『大和さん』
「ん?」
『ありがとうございました…』
「どういたしまして。ちゃんと食べるんだぞ?」
『あ、うん…』

そう言えばお昼以降食べてない。
でも今から食べるのも気が引ける。

「着痩せもするしお前さん軽いぞ」
『……』

これでもちゃんと食べてるんだけど…。
蕎麦とか蕎麦とか。…好物って訳でもないけど。

「怒んなさんなって」
『怒ってない。帰るんでしょ』
「帰って欲しくない?」

私は大和さん玄関まで押し出す。
前にも似たようなことなかったっけ…。
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