第17章 Rey13
「こいつまだデビュー前のアイドルで、今日が初ライブなんだ。お前らこいつの声聞けたのラッキーだぜ?」
『ちょ、大和さん何言って』
「いいからお兄さんに合わせろって。顔はまだ出すなよ?」
『……れ、Rey…です。と、突然失礼しました…』
私はフードを深く被ったまま深くお辞儀をする。
すると話し声が拍手へと変わった。
なんだろう。今までにない達成感がある。
と言っても、IDOLiSH7の舞台を奪ったようなものだ。
みんなに顔向けなんて出来ない。
大和さんに支えられながらステージから降りると私は陸の元へと向かう。
『ごめん…陸…』
吸入器を付けた陸に話しかける。
発作が治らないのか顔も青白い。
こんな時に謝ってもきっと意味がない。
でも謝らずにはいられなかった。
『横取りしたみたいで、ごめ……っ』
「大丈夫か!?Rey?おい!」
そこで私の意識は途絶えた。