• テキストサイズ

アイナナ夢

第17章 Rey13


13

私をプロデュースしたいと言う一織。
そんなことは私一人では決めることなんて出来ない。
でも…本当に悪い話ではないと思う。
人前に立って歌えれば…私はきっと変われる。

「流石に社長の許可無しで私が出しゃばることは出来ませんので、あくまでフォローするような形にはなりますけど」
『紡さんみたいな…?』
「はい」

一織がマネージャーみたいな事を…?
でもそんな話は聞いたことが……本当に無いのだろうか。
全く思い当たる節が無いわけじゃない。
時々二人でいなくなるなんて事も少なからずあったから。

『……ところで克服ってどうやってするつもり?』
「それはまだ話せません」

まだ、と言うことは時期が来たら言えるって事かな。
それがすぐなのか、数ヶ月なのかは分からないけど。

「IDOLiSH7の方も忙しいので貴女もレッスンだけは必ずしていて下さい」
『そっか新曲のお披露目明日だったね…台風にぶつかりそうだけど大丈夫かな』
「私もそれが気がかりですよ。天候だけは私たちではどうも出来ませんから」





◇◇◇





そして翌日。
天気予報通り台風が直撃した。
新曲披露の舞台は駅前。台風の影響なのか、電車も止まっているらしい。

『陸…無理しちゃダメだよ』
「お、オレは大丈夫です…」

そうは言っているものの、だいぶ辛そうだった。
呼吸器の病気はどうしても天候に左右されやすい。
それも雨の中、傘も差さずにいるのだから。

「音無さん少しいいですか」
『一織…?』
「もしもの時はお願いします」

そう言って一織はライブの準備に向かう。
陸も辛そうではあるけど、引き下がることもなくマイクを手に取っていた。
一織の言っていた"もしもの時"と言うのはきっと陸の事だろう。

雨の中、IDOLiSH7の曲が流れる。
それに導かれるように電車待ちの人たちがドンドン集まり始めていた。
その中にカメラを持った人を見つけた。台風中継の人だろう。

『少しでも映ればIDOLiSH7のこと知ってもらえそう…』






歌い始めて2時間以上が経った頃。
駅から駅員さんの声が聞こえる。

【大変長らくお待たせしました】

電車再開のアナウンスだ。
もう何度目のアンコールだっただろう。
陸の体調が心配だ。心なしか血の気がないように見える。
とっくに限界なんて超えてるはず。
/ 117ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp