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アイナナ夢

第16章 Rey12




『……二人で話がしたいから、大和さん…』
「なんかあったらすぐ呼べよ」

そう言って大和さんは早歩きで行ってしまった。
すごく嫌な予感がする。

「誰にも話が聞こえないような場所に行きたいのですが」
『付いてきて』

そんなことを言われたら行き場所なんていつもの場所しかない。
密会専用ってわけじゃ無いのに。

「ここですか。いつも鍵がかかっていて私たちは入れない」
『いいから入って』

鍵を開けて急かすように一織を中へと連れていく。
なるべく"今の私"で入っているところを他の人に見られたくないと言うのもある。

『……それで話って』
「では簡潔に言いますよ。貴女がReyですね」

息が止まるかと思った。
昨日の今日であっさりバレている…?

『何を根拠に…』
「そうですね…見た目、雰囲気だけなら私ぐらいしか気付かないでしょう」

もしかして一織以外は勘付いてないって事でいいのかな。
気づいてなんか欲しくないけど…あんな弱い自分。

『雰囲気とか似てる人っているでしょ…』
「時々貴女がいなくなることがあるでしょう?その時に練習しているんじゃないですか?ここで」
『……』
「分かるように言いましょうか。貴女の曲を作詞したのは私です」
『え…?』

あの曲の作詞…?
それはおかしい。あんな歌詞を書けるのは私のことを知らないと無理だ。

『まさか』
「知っていますよ。貴女がReyとして現れたら話すつもりでした」
『うそ…でしょ…?』
「嘘をついてどうするんですか。ただ、私が書いたことを知っているのはマネージャーだけです」

頭が混乱してきた。
時々、紡さんと一織が一緒なことがあったのはこう言うことだった…?

『紡さんが喋ったの…?』
「いいえ、私が問い詰めました」
『問い詰めたって…』

無理やり聞いたって事にならないだろうか。
一織って時々怖いから問い詰められたら私も負けそうだけど…。

「私が言いたいのはですね…Reyのプロデュースを私にやらせてください」
『………え?』

プロデュース…つまりプロデューサー…。
私にはそんな人がいない。
時々方向性を見失いそうにもなる。
今だってそうだ。今のままじゃ人前で歌うどころか人前にも立てない。

「悪い話ではないと思うのですが」
『でも私…人前に立てないから…』
「克服してもらいます。いいえ、克服させてみせます」
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